樹上生活

木の上に暮らしている

寝溜めいただきます

ちょうど繁忙期が終わったところで仕事が落ち着いていたのでズル休みをすることにした。
夫のことは大切だけども、わたしはひとりの時間がないと気持ちの整理が追いつかないときがある。何かよく分からない漠然としたモノに焦り始めるのがその兆候で、その気配がしたらとにかく何もせず一日中寝続けて、脳みそのデフラグをすることが肝心。
朝は11時まで寝て一瞬トイレ行ってまた寝て、13時に起きて水飲んでまた寝て、15時にやっと起き出してせんべい等のおやつをちょっとつまんで今度はリビングの床で寝て、夕方になったら急に胃腸と気分か爽快になっており、もとのレールにガチッとはまることができる。この流れが一番スッキリするなと、30数年の人生のうち後半10年ぐらいで気づいた。ちょっとした断食(ファスティング)なのかもしれない。

だいぶ前にテレビで汚部屋の特集をやっていて、汚屋敷の主で「納豆仙人」と呼ばれている方が出ていた。その人の発言ですごくしっくりきていまだに一字一句違わず覚えているものがあったので、もっと長いこと覚えていられるようにここへ書く。「一人で孤独で寂しくて心地が良いよ」。




よし、有給休暇を取得した。
わたしより先に会社を出て、後から返ってくる夫は休んだこと自体気づかないかもしれない。帰宅したところをノーメイクで出迎えて、してもいない化粧のことを「今日は帰って即メイク落としたよ」とか嘘っぱち言うのかな。それもまた背徳感があって寝溜めが捗るかもな、とか考えてにやにやしている。
 
 

生活のクセいろいろ

1年間暮らした同居人が配偶者と相成りました。

他人と暮らすのは初めてのことだったので、この1年間で感じた「育ってきた環境が違うからァ〜」ということを記したいと思います。些細なことなので、現状お互いが目をつぶっている感じです。何かで気にくわない出来事があったり、いつか倦怠期の中年夫婦になったりしたら、これらがムカついてくるようになるのでしょうか。相手がA、私がBです。

●ドアチェーン
A:寝る前に誰かが掛ける。
B:家族の中で最後に帰宅した人がその場で掛ける。

●浴室の換気扇を回すとき
A:室内側の浴室のドアをちょっと開けておく。
B:室内側の浴室のドアはきっちり閉める。

●ワイシャツ洗濯時
A:袖口のボタンは外さず、表向きのまま。
B:袖口・腕・襟のすべてのボタンを外し、裏返す。

●洗濯を陽の当たる屋外に干すとき
A:表向き。
B:色が褪せるので裏向き。

●食事でおかずを食べる際の左手
A:左手に飯茶碗を持ったまま右手だけでおかずをつついて食べる。
B:左手はおかずの皿に添える(持ち上げるかどうかは皿の種類による)。
飯茶碗は飯を食べるときだけ持つ。

●醤油差し
A:出す量の調節のため片方の穴を指で押さえる。
B:不衛生になるので穴は触らない(片方は空気穴)。


たぶんわたしのほうが神経質。

ボランティアスマイル

※これは数年前の話です。
職場の目の前にあるちょっと大きめの道路で、デモ行進(パレード)を見かけた。
政治とか何かに対する抗議デモではなくて、啓発活動のためのパレードみたいなやつ。
帰社するためその道路を渡らねばならなかったので、私は横断歩道で立ち止まって車じゃなく一行が通り過ぎるのを待っていた。横断歩道には、私の他にも2-3名ほど立ち止まっている人がいた。

そのとき、高校〜大学生ぐらいの若い(というより幼い)男女ふたりが道路中央の隊列から離れてこちらに向かってきた。私の隣にいる人に、何か主張が書かれたティッシュを配るためらしかった。隣の人は受け取りを断ったので、男女は私のほうをターゲットに据えた。一度断られたからなのかちょっと必死めに「受け取るだけでも!!!」「お願いします!!!」とティッシュを突き出してくる。2つのティッシュのうち、私は女の子が渡してきたほうを受け取った。
するとその女の子はさきほどまでの滅私奉公ひたむき感はどこへやら「アザッ!」と短く叫ぶとクルッ!と背を向けてスキップで隊列に戻って行くではないか。戻りながら「やった〜私これで○個目〜〜〜〜!!!」と渡した数を自慢げに報告している。受け取られなかった男の子のほうは「クッソ〜(笑)」とか言って悔しがっている。なんなんだこれは。

私は別に感謝されたくて受け取ったわけでも、一行の主張に賛同したわけでもなくて、彼女からの「受け取れ圧」に負けただけ。それでもなんだかモヤッとしたものが残った。彼女は内輪メンバーでティッシュ配り競争をしていただけなのかい? 何か伝えたいメッセージがあってその手段としてティッシュ配りをしているのではないのかい?
ボランティア活動でスマイルを振りまいている人を見かけるたび、あのときの彼女の変わり身を思い出す。
誰用の笑顔なんだよ。

夢日記-180315

10代の頃からずっと憧れていた歌手の所属事務所で働くことになった私。入社してすぐの全国ツアーで、その歌手の正体を知ってしまう。
彼はすでに死んでいた。即身仏のように三角座りで乾燥して縮んだミイラだった。
死んで7年は経っていそうなコンディションなのだが、間違いなくツアーはできるのだった。

夜の帳が下りるころ、コンサートホールには何十人ものもぎり嬢。音響さんのチェックの声。照明さん渾身のライトも要所要所のテストがくるくると。ときどきストロボ。ステージは空。
すべてのチェックが本人不在のまま終了し、緞帳がおりると事務所の女社長はコンサートホールのメインブレーカーを落とした。機材は完璧なセッティングで通電したままだ。まずい高額な機材が一瞬にして壊れると思った瞬間、施設全体に響くバンッッッ!!!! という大きな音で私は気を失った。

意識が戻ると楽屋裏の長椅子に寝かされていた。天井に据え付けられたブラウン管モニタには現在のステージがミュートで映し出されていた。ステージからここまで、音楽も漏れ聞こえている。コンサートはすでに始まっていた。ステージには全盛期の姿と変わらぬあの歌手がいた。
「・・・あ、気がついた?」
絶句する私を見て、女社長はキーキッキッキキキキ!! と高笑いしている。
「やつはすでに死んでいるってアンタが告発したとしても、観衆は紅白もラジオもコンサートも生で見てるんだ、信じるわけないだろ。アンタきちがい扱いされるだけだよ。」
前任者がおかしくなって辞めてったって、そういうことだったんだ。

今夜もコンサートは大成功だった。
アンコールのあと、これからライブレポを書くのであろう記者たちの取材対応に追われていて、私は彼がミイラに戻る瞬間を確かめることはできなかった。彼はジュラルミン製の巨大ケースの中に戻っていた。
この箱が音響機材に紛れて全国を回っていることは間違いない。でも常識的に考えたら、この大勢のスタッフの中にちゃんと生きてる影武者がいるんだろうと私は自分の中でつじつまを合わせることができていた。

翌週末、次の地域の公演でまたブレーカーが落とされ、
ジュラルミン製の巨大スーツケースが
コトコトガタガタと震えだすのを見るまでは。






※本当はもうひとつシーンがあるのですが、起きてしばらくしたらどこにそのシーンが入っていたのか忘れたので割愛しました。起きたとき見てたのがこれだと思うからたぶん一番最後なんだけど。下記に書いておきます。

埃っぽく乾燥した地域のぼろぼろの長距離列車に乗って、キャンパス地のトートバックに、むき出しのまま入れられた彼を運ぶシーン。(彼のいつも入っているジュラルミンケースはどこいったんだろう)
トートバックだから蓋が閉められなくて、乾燥してビーフジャーキーみたいに縮んで毛も抜けてしまった彼の頭頂部と膝小僧を上からじっと見ていた。
彼のことはとても好きだなぁ。
このまま彼を持って逃げたら、事務所の女社長に地の果てまで追われて、彼取り上げられて私殺されるんだろうな──。


ヨッパライが匂いと味を言語化する遊び

先日、ホームパーティでワインの匂いをかいだりちょこっと飲んだりしてそれっぽい評論をする遊びをいたし、それが言葉遊びとして楽しくてちょっとまたやりたくなってしまった。自分だけが感じてる「味覚」「嗅覚」をなんとかこねくりまわして人に伝えようとする感じ、脳みその訓練みたいでよかったです。


A(赤ワイン)
「ツバキの葉っぱにコショウがかかってるみたいな匂い」
「ライムの皮にちょっと蜂蜜をかけて奥歯で噛みしめたような味」

B(白ワイン)
「ホテルの部屋にチェックインしたら、ベッドサイドにホワイトリリーが生けてあったという匂い」
「スキー場でロッジの乾燥室に入ったときに感じる、若者の汗を吸って湿ったスキーウェアの匂い」

一発目の感想で経験者から「黒こしょうはよく使われる表現やで」と言ってもらい、気を良くして2種類も飲んでペラペラしゃべってしまいました。ちなみにワインはあまり好きではなくて、グラス2杯以上飲むと頭痛がしてくる。でも、匂いと味の表現にどんな例えを使うのか興味がわいて、ちょっとググったりしてみました。そうしたら「濡れた毛糸の匂い」「汗の匂い」もよく使われる表現だということ。スキー場のロッジの乾燥室の匂いってそれか!
自分の舌と鼻、なかなかいい感度してるんじゃないかなと、小さい頃いろんなものを食べさせてくれた母親にありがたいなと思った出来事でした。