樹上生活

木の上に暮らしている

ボランティアスマイル

※これは数年前の話です。
職場の目の前にあるちょっと大きめの道路で、デモ行進(パレード)を見かけた。
政治とか何かに対する抗議デモではなくて、啓発活動のためのパレードみたいなやつ。
帰社するためその道路を渡らねばならなかったので、私は横断歩道で立ち止まって車じゃなく一行が通り過ぎるのを待っていた。横断歩道には、私の他にも2-3名ほど立ち止まっている人がいた。

そのとき、高校〜大学生ぐらいの若い(というより幼い)男女ふたりが道路中央の隊列から離れてこちらに向かってきた。私の隣にいる人に、何か主張が書かれたティッシュを配るためらしかった。隣の人は受け取りを断ったので、男女は私のほうをターゲットに据えた。一度断られたからなのかちょっと必死めに「受け取るだけでも!!!」「お願いします!!!」とティッシュを突き出してくる。2つのティッシュのうち、私は女の子が渡してきたほうを受け取った。
するとその女の子はさきほどまでの滅私奉公ひたむき感はどこへやら「アザッ!」と短く叫ぶとクルッ!と背を向けてスキップで隊列に戻って行くではないか。戻りながら「やった〜私これで○個目〜〜〜〜!!!」と渡した数を自慢げに報告している。受け取られなかった男の子のほうは「クッソ〜(笑)」とか言って悔しがっている。なんなんだこれは。

私は別に感謝されたくて受け取ったわけでも、一行の主張に賛同したわけでもなくて、彼女からの「受け取れ圧」に負けただけ。それでもなんだかモヤッとしたものが残った。彼女は内輪メンバーでティッシュ配り競争をしていただけなのかい? 何か伝えたいメッセージがあってその手段としてティッシュ配りをしているのではないのかい?
ボランティア活動でスマイルを振りまいている人を見かけるたび、あのときの彼女の変わり身を思い出す。
誰用の笑顔なんだよ。